アイシン学園物語

第一章1

アイシン学園物語 

那覇市の小道の坂を上ると正面に神社がある。そして、隣にはアイシン学園がある。神社は神道だが、隣のアイシン学園は、キリスト教系である。保育施設なので日頃は子供の声で賑やかである。今日は梅雨明けの青空がまぶしいくらいの天気です。南向きの玄関の日あたりの良さが一層周囲を明るくしているようだ。西日は建物によって遮られている。元中さん(もとなか)は「おはようございます」といつものように従業員(保育士ら)にあいさつをした。ハスキーボイッスの上野は、「おはよう」と義務的に言葉を返しただけであった。元中さんはいつものような元気な返事でなかったので心配していたが、上野は生憎、風邪をひいていたようでした。「昨日、クーラーのかけっぱなしで、気が付いていたら、咳き込んでいたんです。「クーラーをつける時、タイマーを付けていなかったの?」元中はそっけなく言った。(風邪を引いて急に休まれると困るとおもったから)園長先生は独身女性でクリスチャンですが、常識はずれの所があって、人の扱い方が下手だと従業員からの評判が良くないようです。かつて、保育士のマギーさんも園長のせいで、退職に追いやられたのであった。マギーさんはしばしばそのことを元中さんに相談をしていた。      「元中さん、私さー、この頃、クソ園長にいびられているさー、何でかねー?」元中さんはベテランの会計士であるが、園(縁)の下力持ち的存在で保育士らの相談事を時々受け持っていた。「園長はさー、独身だし、また何かと純粋過ぎて、下の人の気持ちがわからんはずよー」と元中は言った。その園長はベテランの保育士よりも若手の保育士を可愛がるようである。それが部下に対する公平さを欠き、次第に大きな問題に発展していくのである。庭先には、ガジュマルの木が日陰を作り、守っているように見えるが、時々緑の葉っぱを激しく揺らしていた。上司の人的配慮と従業員の嫉妬心が、微妙な心理状態を金繰り、収拾がつかなくなっていくのである。                    

 

ーつづくー  ※ 小説編、これは、事実とは関係なく、登場する人物、すべて、フィクションである。


第一章2

宮の坂道 

 アイシン学園の後側には新都心の高い建物が見える。背中の高いビルは風水的には、山の形だいと看るので、気の流れとしては良い環境である。今日は、真っ青な空、しかも雲一つない”日本晴れ”だ。保育園児らはいつも元気があって、パワーをもらうのである。保育士はいっぱい遊んであげたように思うのですが、かえって遊ばれているのかもしれない。いう事をきかない園児に頭を抱える毎日。実は、私自身の人格などの成長のためにあったといつか気づくのである。

 マギーは園長の顔色を窺うように、元中にコソコソと話をしていた。「実は私今月いっぱいでこの仕事を辞めようかと思っているさー」「何でまた急に!」元中は言った。「いやーもう限界に来ているさー、あのクソ園長が、辺土名から来ている新人の田宮を主任に抜擢しているさー」マギーは田宮を嫌っているのではなく、ただ、説明もなく一方的な人事をするのがとても理解ができないのである。15年、いやもう20年もこの園で働いてきて、いったいいままで何のために働いてきたの?理性ではもう収拾がつかず、ワジワジーが高揚したのだった。園長先生はベテラン保育士を嫌ったのではなく、将来を見込んで若手を育てたかったのかもしれない。元中は思い出したように「そういえば、栄町にとってもよくあたる占い師がいるってよー!、一度行ってってみないねー」「そうね、私も一度そういうところに行ってみたいと思っていたところだったさー」と言って、この機会に気持ちの整理と転職の事を相談したいと思っていた。   -つづくー




第一章 3

今年でも良いと言っていたので、この際思い切って辞めることになった。ただ、今の状態が嫌で辞めるのではなく、結局マギーは保育園を退職することになった。栄町の占い師によれば、転職の時期は今やめるのではなく、負債なく辞めるのは、21日間の祈願と精誠を尽くした条件が必要といわれた。その人を憎んだりすることなく、何もない無私の状態に戻す、つまり、原状回復、たとえばアパートを借りたら、退室するときに元の状態に戻してから返す。使う前の綺麗な状態にしてから返す。(心の原状回復の意味)マギーは早速朝早く出勤し、この園の発展のために掃除と庭の花に水をやること、そして、特に園長の部屋の周りを綺麗に掃除をした。最初はばかばかしいと思ってやっていたのが次第に心が変わっていくのでした。クソ園長と思っていたのが、なんだか、園長がかわいらしく見えてきて、今までのことがウソのように許せる気持ちになっていた。「考えてみれば、私って園長より恵まれているよねー、幼馴染の素敵な旦那もいるし、子供にも恵まれて、長男も今度、めでたく結婚するし、それに比べれば、独身の園長はなんだかかわいそうに思えてきた。」マギーは半分惚気て言った。元中は「考えれば、そうよねー、あんたは恵まれているさー、私なんかいろいろあって、、、、これは言えない、、、。元中は一瞬嗚咽しそうになって、あんたがうらやましいよ、、、、。」「ごめん、ついつい昔の事を思い出してしまって、、、。」元中は口を押えすぐに自分の持ち場に戻ったのでした。

 マギーは、長く勤めていた保育園を退職し、アレックス保険会社に就職したのでした。今まで勤めていた専門職から離れ、そとの世界というか、ずっと内勤が主でしたので営業の仕事でもと思って保険会社に勤めたのでした。一週間、福岡の支社に行くことになっていました。   -つづくー


 

第一章 4

 

アイシン学園では、新しい園長のもとで体制を立て直おすために、まず保育士の主任を立てなければなりませんでした。  上野はかなりの野心家で、一番の主任候補でした。「園長!!この学園では、保育士の体制ができていないと思います。少子化時代に対応が遅れています。少子化の原因は言うまでもなく、晩婚化、未婚化、つまり、子供を産まなくなっているのです。このままいくと、10年後には、現在、沖縄の小学校のように閉鎖や統合が進んでいるように、保育園も合併、統合で、わが園も競争で閉鎖になる可能性もあります。保育園児が来るのを待つ時代ではなくなるのです。私は今のうちに、積極的な質的サービスの改革を・・・・と考えています。」 園長は、上野!「そこまで言うんだったら、あなたが主任になりなさい。」と言われ、上野は園長からすぐに主任に任命されました。「決めるの速くない?」元中は園長の決断の速さにびっくりしていました。今にも少子化担当大臣でもなれそうな勢いでした。その訴えがきいたのか、ケッキョク、上野が正式に主任に抜擢されたのでした。 ーつづくー

第二章 太極の位置


 

元中は園の中では中心的立場あることはいがめない。なぜならその職場では25年のベテランなのである。その建物の中心は事務所になっていて、彼女は常にその事務所の椅子に座っている。人の体で言えば、”へそ”の部分になっていて、風水で言えば太極の位置にある。その位置は柱であり、中心的立場になる。コントロールタワー、管制塔のような位置です。周りの様子が良く見えるし、すぐ隣が園長室になっているので、全くの副の位置、二番手、(※会社いうならば、副社長の立場になる。)  

マギーは福岡の研修で一週間ステイした。研修を終えて、那覇に帰る途中、福岡の駅で財布を落としてしまったのでした。マギーは慌てて駅員に聞いてみたのだが、すぐに見つかりそうになかった。マギーは自分の歩いてきた道の逆の経路をたどっていった。「確か!駅の地下街でお土産を買って、博多ラーメン屋に入った。この辺だったかなー?すいませんこの辺に財布ありませんでしたか?」とレジの店員に尋ねたが、店員は見当たらない」といった。隣に座っていた人が「もしかして、この財布、あなたの?、、、、、。ーつづくー